02Reels

リール

ルアーでよく使うのはスピニングリールとベイトリール。最も大きな違いは、キャスト時にスプールが回転するかどうかで、使い心地、得意な釣り、習得の難しさに関わる。
ASpinning vs Baitcasting

2種類のリール

スピニングリールベイトリール
スプール巻き取りとキャスト中は回転せず、ローターが周囲を回って糸を巻く。ドラグで糸が出るときに回転する糸の放出と巻き取りに合わせて回転する
ラインの出方スプールの前縁かららせん状に出るスプールが回転してまっすぐ出る
取り付け位置ロッドの下(スピニング用)ロッドの上(ベイト用)
バックラッシュほぼ起きないが、糸ヨレや緩んだループは生じやすい起きる。ブレーキとサミングが必要
軽いルアー得意。数 g のルアーでも遠投できる通常は苦手。BFS などの専用機は 2–7 g に対応
精度と効率指でラインを制御し、ベールの開閉が必要親指で常に制御でき、狙いやすい。キャストから巻き始めへの切り替えが速い
パワー機種とサイズによる。大型スピニングはドラグが強いが、同クラスでは太いラインや重いルアーを繰り返し扱う際にベイトほど使いやすくない機種とサイズによる。糸の経路が直線的で巻き取りトルクが大きく、太いライン、重いルアー、カバーからの強引な引き出しに向く
入門★★★★★★★★

ほかに丸型ベイトリール(糸巻き量が多く丈夫で、ビッグベイトや海釣り向け)や、スピンキャストリール(ボタンで糸を出す密閉型。中国では少ない)もある。

BSpinning Reel

スピニングリール

FIG.1スピニングリール:スプールは回らず、ローターがスプールの周りを回って巻く
← 穂先側バットガイドスプール(回転しない)ラインローラーはローターと一緒に回るFRONT · 正面
ギア比
ハンドル 0.2 回転 → ローター 1.1 回転 → 巻き取り約 0.1 m
アニメーションはスロー再生。巻き取り中はスプールが前後に往復(オシレーション)し、ラインを均一に巻く。糸巻き径は 2500 番で約 44 mm として計算。

型番と番手

番手糸巻き量の目安主な用途
500–1000PE 0.3–0.6 号 · 100–150 m渓流の小物、管理釣り場のトラウト
2000PE 0.6–0.8 号 · 150 mダウンショットやネコリグなどのフィネスワーム、ライトなケツギョ狙い
2500 / C3000PE 0.8–1.2 号 · 150–200 m淡水の万能サイズ:バス、ケツギョ、カワヒラ
3000–4000PE 1.0–2.0 号 · 150–200 mシーバス、カワヒラの遠投、カンギョ
5000–6000PE 2–3 号 · 200 m 以上ショアジギング、ライトなオフショア
8000 以上PE 3–5 号 · 300 m 以上ヘビーなソルト(大型メタルジグ、フローティングペンシル)

数字はスプールのサイズを表す。シマノとダイワ LT シリーズの番手はおおむね対応する。糸巻き量はメーカーやスプールの深さによって変わる。

よく使う末尾記号

末尾記号意味
C(例:C3000)Compact。2500 番と同クラスの小型ボディに 3000 番相当の糸巻き量を組み合わせたもの。スプール径やストロークが 2500 番と同じかは機種による
SShallow。細い PE 向けの浅溝スプール。下巻きを減らせる
DDeep。深溝スプール(ダイワ)
PG / P低ギア比(Power Gear)
HG / Hハイギア
XG / XH超高ギア比

使い方のポイント

  • キャスト:人差し指にラインを掛ける → ベールを開く → ロッドを振り、力を乗せた位置で指を離す → 着水前に指でスプールの縁に軽く触れ、減速する(フェザリング)→ 着水後は手でベールを閉じる。
  • 糸ヨレ:スピニングリールは糸を巻くたびに少しねじれが生じる。スピナー、曲がって付いたワーム、ドラグが滑っている間の巻き取りは糸ヨレを増やす。ベールを手で閉じ、糸を張って巻き、スイベルを使うと、糸ヨレや緩んだループを減らせる。
  • ドラグが滑っている間は巻かない:スプールから糸が出ているのにローターが巻き続けると、放出される糸にねじれが加わり、ひどい糸ヨレになる。
  • ラインはスプールの前縁から約 1–2 mm 下まで。多すぎるとループが飛び出し、少なすぎると飛距離が落ちる。
CBaitcasting Reel

ベイトリール

FIG.2ベイトリール各部の名称(上から見た図、穂先は左)
ブレーキ調整BRAKE DIALレベルワインドLEVEL WINDスプールSPOOLクラッチTHUMB BARスタードラグSTAR DRAGハンドルHANDLEメカニカルブレーキCAST CONTROL
右ハンドルの例:ハンドルとスタードラグは右側、ブレーキダイヤルは多くが左サイドプレートにある(機種により位置は異なる)。

バックラッシュの原因

キャストではルアーが糸を引いてスプールを回す。ルアーは空気抵抗と重力で減速するが、スプールは慣性で回り続ける。ルアーが引く速さより糸の放出が速くなると、余った糸が膨らんで絡む。これがバックラッシュ。特にリリース直後(急加速)、向かい風(ルアーが速く減速)、軽いルアー(慣性が小さい)、着水の瞬間(ルアーが止まる)に起きやすい。

FIG.3ベイトリールのキャストシミュレーション:なぜ「バックラッシュ」が起きるのか
01020m/s0s1s2s着水— スプールの糸出し速度— ルアーの速度
飛距離
39.1m
飛行中のたるみ
2.92m
着水後のたるみ
0.19m
結果
バックラッシュ!
ルアー重量
ブレーキ
向かい風
2
2
簡略化した物理モデルで、数値は傾向を示すためのもの。スプール(朱色)の回転がルアー(墨色)の飛ぶ速さを上回ると、余分に出たラインがスプール上にたまる。ブレーキを強くするほどバックラッシュしにくくなるが、飛距離は落ちる。

ブレーキシステム

Centrifugal Brake

遠心ブレーキ

スプール内のブレーキシューが遠心力で外側へ動き、外周のブレーキリングと擦れる。遠心力は回転数の二乗に比例するため、高回転ほど強く効き、低回転ではほとんど効かない。

キャスト初速を強く抑え、後半は伸びるので遠投性能が高く、「糸が素直に出る」。調整はサイドカバーを開けてオンにするブレーキシューの数で行う(外部ダイヤル付きの機種もある)。

Magnetic Brake

マグネットブレーキ

回転する金属スプールに磁石を近づけると渦電流が生じ、回転数にほぼ比例する抵抗になる。外部ダイヤルで磁石とスプールの距離を変えて調整する。

キャスト全体を通して効き続け、終盤や着水前にもブレーキがかかる。トラブルに強く調整も簡単で、初心者や軽量ルアーに向く。

Digital Control

電子制御ブレーキ

スプールの回転で発電し、チップが回転数をリアルタイムに計算して電磁コイルでブレーキをかける。キャストの段階ごとに異なるブレーキカーブを使い分けられる(シマノの DC など)。

向かい風やバックラッシュに最も強く、ルアーや状況に合わせてモードを選べる。価格は高い。

デジタルブレーキの曲線は模式図。実際の制動曲線は各メーカーの制御プログラムによって決まる。

初心者の調整手順

  1. まずブレーキを強めにする。磁気ブレーキなら、ダイヤルの中間より少し上が目安。
  2. スプールテンションを調整する:ロッドを水平にし、クラッチを切ってルアーを自然落下させ、着地と同時にスプールが止まるようにする。最近の機種には、テンションで左右のガタだけを取り、主にブレーキで制御するものもある。取扱説明書を確認しよう。
  3. 親指を軽く添えて弱めに試投し、時々サミングするだけで済むところまで、少しずつブレーキを弱める。
  4. 軽いルアー、強い向かい風、サイドキャストやピッチングではブレーキを強める。着水の瞬間は必ず親指でスプールを止める。
バックラッシュしたら

すぐに親指でスプールを止める → クラッチを切り、糸を親指で押さえながら、緩んだ糸をゆっくり引き出す → 食い込んでいるループを見つけて緩める。深く食い込んだ場合は、スプールを押さえて数回巻き、軽く投げると解けることもある。

サイズ

タイプ用途
BFS / 小物用ベイトリール超軽量スプールで 1–7 g のルアーを扱える。渓流やフィネスワーム向け
70–100 番(一般的)淡水の汎用。7–30 g のルアー、バス釣りの主力
150–200 番糸巻き量とパワーが大きい。太い PE、重いルアー、ライギョのフロッグ、ビッグベイト向け
丸型ベイトリール大型スイムベイト、海釣り、大物

左巻き / 右巻きはハンドルの位置。左巻きなら左手で巻き、右手でロッドを持って投げるため、キャスト後に持ち替えずに済む。中国では一般的。

DGear Ratio

ギア比と巻き取り量

ギア比(例:7.1:1)は、ハンドル1回転でスプール(スピニングはローター)が何回転するかを表す。巻き取り速度を決めるのは1回転の巻き取り量:ギア比 × π × スプール有効径。スピニングはスプール径が大きいため、ギア比が低め(通常 4.x–6.x)でも巻き取り量が少ないとは限らない。

クラスギア比(ベイト)1回転の巻き取り量向いている釣り
ローギア5.0–6.2 : 1約 50–65 cmディープクランクや大きなブレードのスピナーベイトなど引き抵抗の大きいルアーに。巻きが軽く、ゆっくり安定して巻ける
ノーマルギア6.3–7.2 : 1約 65–75 cm万能:ミノー、バイブレーション、ほとんどのハードルアーとワーム
ハイギア7.3–8.x : 1 以上約 75–90 cm 以上テキサスリグ、ラバージグ、フロッグなど:糸ふけを素早く回収し、すぐにフッキングし、魚をカバーから引き離す
TOOL巻き取り量計算
7.1:1
34 mm
1.5 回転/秒
ハンドル1回転
75.8cm
巻き取り速度
1.14m/s
30 m の巻き取りに必要
40回転
スプールの有効径は、ラインを巻いた状態の外径。糸が少ないほど径が小さくなり、1回転の巻き取り量も減る。ベイトリール 70–100 番では約 30–36 mm、スピニングリール 2500 番では約 40–46 mm が一般的。
EDrag

ドラグ

ドラグはリール内部の摩擦板。魚の引く力が設定を超えるとスプールが滑って糸を出し、糸切れを防ぐ。スピニングはスプール前部(フロントドラグ)またはボディ後部(リアドラグ)で調整し、ベイトはハンドル横のスタードラグで調整する。スペックの最大ドラグは上限で、通常はもっと弱く設定する。

TOOLドラグ設定の目安
12 lb
破断強度
5.4kg
推奨ドラグ
1.4–1.8kg
目安はラインの表示強度の 1/4~1/3。PE + リーダーでは、弱い部分(通常はリーダーやノット)を基準にする。
  • 正確に設定するには、ガイドに通した糸をばねばかりに掛け、釣りのときの角度までロッドを曲げて引き、糸が出始める力を読む。
  • はかりがなければ、手でしっかり引くと一定に糸が出る程度にする。強すぎるより弱めがよい。
  • カバーで使うシングルフックワームは、魚を引き出すため強めのドラグが必要。トレブルフックルアーや口の薄い魚(カワヒラなど)は弱めにする。
FSpecs

その他のスペック

自重
軽いほど疲れにくいが、ロッドとのバランスが大切。重心が前グリップ付近にあると持ちやすい。
ベアリング数
「何個 + 1」は数だけ。品質、配置、全体の作りのほうが重要。
糸巻き量
PE 1.0–150 m、12 lb–100 m のように、巻けるラインの太さと長さを示す。
防水 / 耐塩性
海水で使ったら真水で洗い、乾かす。機種によっては防水シールがある。

ラインの太さは03 ラインを参照。